2008年2月28日木曜日

Nishikori で思う

錦織、の読み方(読み方はいくつかあるらしい)は知らなかったとしても、”Nishikori”は知ることになったはずだ。

快挙!
しばらくはテニス界だけではなく日本中がこの話題で盛り上がることは間違いない。これで少しはテニスがマイナーの領域から這い出るようになってほしいものだと、業界の末端に身を置く一人として願わずにはいられない。ここずっと低迷していた日本男子テニスに希望が持てる選手が出現したわけだ。
コメントもいい。
「今年末までに100位以内を考えていたけれどこれで50位以内が目標になった」
「ロディックは大して強くなかった・・・」

彼はジュニア(18歳以下のカテゴリー)で名を知られていたとはいえ、昨年1月はATP603位に過ぎなかった。ATPに登場後すぐにランキングをあげてきたわけだ。この経緯はマッケンローやフェデラーなど英雄たちがひとつのチャンスのあと瞬く間にトップに上り詰めた過去を思い出させる。
しかしもう少し視野を広げるとそう喜ぶべきでものではないという思いは変わらない。彼に続く選手はどこにいるのか。現状では後に続く多くの選手は200位台にとどまっている、しかもかなり年長でもある。彼らはここ何年もそこから這い上がれないでいる。S田はどうしているのか・・・女子もそう。N村が全豪でエナンと(昨年よりは)いい試合をしたといっているが、彼女(1歳年下なだけ)がジュニアで戦っていた年齢にはエナンはすでに世界のトップに君臨していたわけで、意地悪く言えば「そんなこと言ってる場合ではないだろう」と思う。

ワタシが問題とするのは、錦織は確かに日本人!だが彼をここまで育てたのは日本(日本人、日本テニス界)ではない、ということだ(お金は日本から出ているが・・・)。このことを真剣に考えている人間がどれほどいるだろうか。それともそれはたいした問題ではない・・・とでも。

選手が自分の最適の環境をどこに求めるかは彼自身の問題である。ワタシはそれを問題にしているわけではない。しかし自分の住居の近く(つまり日本)がその選択肢のひとつになっていなければ、限られた選手しかその最適環境を選べない。いい選手は外国で・・・は雰囲気はいいように聞こえるかもしれない?が、それでは日本選手(いやあえて日本テニス界、といおう)全体のレベルを上げていくことは決してできない。
大事なのは一人のチャンピオンを育てることではない。10位以内に1人、50位以内に3人、100位以内に10人(うーん、高望みかな!)などと有力選手がそこそこにいてこそ希望を持続できるというものだろう。

立場も省みず大変えらそうに言うのだが、求められているのは選手の育成ではない。コーチの育成こそ急務だ、というのはワタシの持論である。
テニスに限らず選手が外国にいくのはソフトが充実しているからである。コーチ(人材)、コーチ技術、育成システム、トーナメントシステム、そうした総合力が魅力だから日本を捨てる!わけだ。決してコートがたくさんあるから、ではない。

外国には選手ではなく、あるいは選手と一緒に、しかるべきコーチを派遣すべきだ。
または外国で実績のある日本人コーチをしかるべきポストに迎えたらいかがだろうか。
逆に、しかるべき外国人コーチをしかるべきポストに迎えるとか・・・

いうまでもなくコーチの仕事は打球技術を教えること(だけ)ではない。技術の使い方、戦略の立て方、将来展望の見通し方、さらにはコミュニケーションのとり方、などなど・・・選手の全体像を引き受けるのがコーチと言うものだと思う・・・うーん大げさに出すぎた感じが。
彼らにはこうしたことやテニスマーケットの展望などを大いに学んで、日本テニスにフィードバックしてほしいものだ。

たぶん現実にはやっているんだろうけど、この「しかるべき」というところでどうも私には物足りなく感じるのだがどうだろうか。

サッカーはそこそこうまくやっていると思う。Jリーグができて(選手だけでなく)コーチやトレーナーさらにマネージメントやチーム運営スタッフなどのマーケットが広がり優秀な人材が育つ環境が整いつつある。こうなればジャーナリズムやさらには各人材の教育環境の拡大と好循環になっていくわけだ。
彼らに学ぶことは多々あると思う。

いい環境が整えばアメリカを始めとするテニス先進国のように、チャンピオンは自然と生まれてくるはずだ。というよりそうした環境つくりこそが最優先のはずだと思う。どうも今の日本テニス界にそうした戦略的な展望があるようには思えない。少なくとも従前の「有力(名)選手尊重」の悪弊から逃れない限り日本テニスの将来は見えてこないような気がする。

Nishikoriをたまたま出現した選手で終わらせてはならない。(それこそかつてのM岡のように)。
次に続く選手いかんによって日本テニス界の力量が問われている。

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